お子さんの体調不良時、一番困るのが服薬ですよね。
きちんと飲ませたいけど嫌がって飲んでくれない、なんて日常茶飯事!
そこで今回は、現役薬剤師ママの私が「子供が薬を飲まないときの対処法」を解説します。
・乳児、幼児のお子さんがいる
・子供が薬を飲まなくて困っている
・粉薬を飲ませるコツが知りたい
・苦くなる薬の仕組みを知りたい
粉薬を飲ませるときのコツ
まだ錠剤が飲めない赤ちゃんや幼児には、基本的にシロップやドライシロップ(粉薬)が処方されます。
その中でもドライシロップってどう飲ませたらいいの?と疑問に思う方も多くいらっしゃるので、まずは基本的な飲ませ方とコツを解説します。
赤ちゃんに飲ませるとき
ドライシロップは、その名の通り乾燥させたシロップです。
水で溶かすとシロップになります。
薬局でもらった説明書には、「少量の水で練り、指で赤ちゃんのほっぺの内側につけましょう」と書いてあると思います。
ところが説明書のようにうまくいかないのが現実です。
理由はドライシロップが非常に溶けやすく、水量の調節が難しいからです。
ちょこっとの水でもすぐサラサラに溶けてしまうので、思い切って小さじ1くらいの水をいれて、始めから液体にした方がラクです。
それを哺乳瓶の乳首部分に入れて飲ませてあげましょう。
幼児に飲ませるとき
言葉を理解できる年齢なら、必要性を説明するのも一つの手です。
「このおくすりは痛いのを取ってくれるヒーローなんだよ」など、子供にも分かりやすい表現で伝えましょう。
騙して飲ませたり、「飲まなかったら遊びに連れてってあげない」等のネガティブな取引は親への信頼感が薄れるのでやめましょう。
それよりも「お口直しのお菓子」など、ご褒美を与える方が良いです。
また、子供の年齢に関わらず「親が怖い顔をしない」というのも大事なポイントです。
どうしても飲ませなければ!と必死になりずぎて怖い顔になってしまうことがよくあるんですが、怖い顔をされたら子供は余計に嫌がってしまいます。
苦くて飲めないとき
子供は大人よりも味覚が敏感なので、苦みにも敏感に反応してしまいます。
この項では、子供が苦くて薬を飲めない時の対処法をまとめました。
甘いものと混ぜる
飲み物・食べ物と混ぜることによって薬の効果が落ちることもありますが、子供相手ではそんなこと言ってられません。
とにかく飲んでもらうことが先決です。
注意していただきたいのは、「ジュースやヨーグルトなど酸味のあるものと混ざると苦くなる薬もある」ということです。
ですから薬はアイスクリーム、チョコレート、ココアなど酸味のない甘いものに混ぜましょう。
なかでも一番おすすめなのはチョコアイスです。
また言葉を理解できる年齢なら、本人と相談して目の前で混ぜると良いでしょう。
ハチミツには混ぜないようにしましょう。1歳未満の乳児にハチミツを与えるとボツリヌス感染症になる可能性があるからです。
服薬ゼリーを使う
最近では子供向けのゼリー型オブラートも売っていますね。
たっぷりのゼリーで薬を包めば、薬の味を感じずに飲むことができます。
ただ、これらのゼリーはくだもの味が多いため酸味があります。
抗生剤を飲ませる場合は、服薬ゼリーの中でもチョコレート味を選びましょう。
苦い抗生剤の見分け方
なぜ苦くなるの?
先ほども申し上げましたがジュースやヨーグルトなど酸味のあるものと混ざると苦くなる薬があります。
これは、苦みをおさえるための薬のコーティングが、酸によって取れてしまうことが原因です。
このため、水で溶かしただけだとあまり苦くないのにオレンジジュースに混ぜたらすっごく苦い!という状態になります。
成分名で見分けられる
苦みが出る抗生剤の代表が「マクロライド系」と呼ばれる薬です。
これらは成分名に「~ロマイシン」とつくのが特徴です。
クラリスロマイシン
アジスロマイシン
といった具合です。
成分名は薬局でもらう医薬品情報で確認することができます。
※ネットでも調べられますが、間違った情報にお気を付けください。
【注意】ミルクには混ぜない
甘いものに混ぜればいいのね。じゃあミルクに混ぜよう。
と思った方がいらしたら、ちょっと待ってください!
ミルクには薬を混ぜないでください。
理由は、赤ちゃんに「ミルクがまずい」と思われてしまったら、その後ミルク自体を飲まなくなってしまう可能性があるからです。
ミルクは赤ちゃんにとって大切な栄養源ですし、しっかり飲んでもらう必要があるので薬は混ぜないようにしましょう。
薬を吐いてしまったら?
苦くて吐いてしまう
苦すぎて吐いてしまうお子さんもいると思います。
「苦いものは毒」という意識が本能的に働いているんでしょうね。
そのような場合は、先ほど解説したチョコアイス、ココア、服薬ゼリーなどを多めに混ぜて試してください。
それでもダメなら処方医に相談して、可能なら薬を変更してもらいましょう。
薬をもう一度飲ませるべき?
味とは関係なく、胃腸かぜなどで吐いてしまうこともあるでしょう。
薬を飲んで5分前後で吐いてしまったら、もう一度薬を飲ませてあげてください。
飲んで30分前後で吐いた場合は、おおかた吸収されているので飲み直しは要りません。
飲めたら褒めてあげよう
お子さんが薬を飲めたら、しっかり褒めてあげましょう。
「がんばったね」「飲めたね」「飲んでくれてありがとう」といった言葉で大丈夫です。
こうした言葉があるだけで、子供はがんばりを認めてもらえたと思えます。
まとめ
子供が薬を飲まないときの対処法・注意点は以下のとおりです。
・騙し打ちはぜずに、必要性を説明する
・甘いものに混ぜる(おすすめはチョコアイス)
・服薬ゼリーを使う
・ネガティブな取引はせず、ご褒美制にする
・酸味のあるものと混ぜると苦くなる薬もあるので注意
・飲めたらしっかり褒める
どうしても飲めない場合は、処方医に頼んで変更してもらうことも検討しましょう。
また他にも薬で困ったことがあったら、かかりつけの病院や薬局で気軽に相談しましょう。